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因業日記

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いかにして私の初恋はついえたのか〜Sさんのこと02

 「○○(私の名)はR子のことが好きなんだよね」

 「えっ、あ」

 突然Sさんが切り込んできた。中2の秋だった。

 「いや、まあ隠さなくていいから。〇〇は隠してるつもりかもしれないけど、
そんなのは本人にはわかるんだよ」

 誰かそんなこと言ったか。誰にも言ってないぞ、そんなこと。

 「いや。別に好きとかそんなんじゃないよ」

 心にもないことを言う。あとでヒヤかされたりしたら面倒だ。

 「まあね、R子はかわいいから。好きになる気持ちもわかるよ」

 「いや本当に好きとかそういうんじゃないから」

 「・・・まあそう必死なのが『好き』って言っているようなもんなんだけどね・・・」

 こいつ心が読めるのか。

 Sさんはつづけた。衝撃的な言葉だった。

「でもね、R子はやめた方がいい」

 私は何を言われているのかわからなかった。

 たとえ好意を寄せていることをR子さんが知っていたとしてもただの私の片思いにすぎない。

 彼女の生活にはなんの関係もないはずだ。

 ただ『やめたほうがいい』は衝撃的だった。

「なにそれ、やめるもなにもさ」

「〇〇、いい、あんたみたいな人とR子がつきあってなんの話するの?」

 いま思えばこれはほんとうに核心をついている。

 R子さんと『交際する』としても具体案なんか、なにも浮かばないのだ。

「R子はほんとうにいい子だけど、〇〇とはちょっと違う人間なんだよ」

「『違う』って『お嬢様」ってこと?」

「ううん、あんたにはわからないかもしんないけど・・・」

 Sさんはそのとき少し笑った思う。

「〇〇、アンタはね・・・けっこういい男だよ。だからきっとこのさきモテる、
と思う。彼女もたぶんできるよ。でもねR子みたいな子はアンタには向かない」

 Sさんは私の目を見てハッキリとそう言った。

 〜つづく
[ 2019/04/08 16:26 ] 思い出すこと | TB(-) | CM(0)
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