20代の前半に就いていた職業では終業が深夜になることが週に3日ほど
あった。
それもあって車で通勤していた。
一人暮らしで自炊もしていなかったので、仕事帰り、深夜でもやってい
るのはファミレスか焼肉屋か、牛丼チェーン、ラーメン屋。
そんなお店をローテーションでまわり食事してからアパートに帰る日々
だった。
そして深夜帰宅のときの楽しみはアダルトビデオの自販機めぐり。
レンタルビデオが苦手というか、返しに行くのが面倒臭い私はセルスルー
の安いビデオが好きだった。
一日の仕事がキツイ日には「よし、今日は帰りご褒美に自販機ビデオ買ってよし」
と思ってその日の仕事を乗り切ったりしていた。
いまではもうこういうビデオや雑誌の自販機はなくなってしまったが、当時は
トラックの深夜便などが多くとおる幹線道路沿いや独身寮なんかが多い場所には
必ず設置されていた。
仕事場から自宅までの間にもルートを少しかえれば4台ほどの自販機があった。
自販機の中身はだいたい一週間に一度決まった曜日に
商品が補充されているらしく、しばらくの間観察していると「今日は金曜だから
〇〇交差点の自販機入替えになってるはず」と商品交換の曜日までそれぞれわか
るようになった。
いまのようにネットでAVが簡単に見られる時代ではなかったので、田舎の
深夜時間帯には貴重なオカズの供給源だったのである。
真冬の寒い日、温かい缶コーヒーをのみながら品定めをしていたことを思出す。
ブルマーものや好きな女優さんのビデオが入っていると、「やった」とイソイソ
と購入したものだ。
先客がいる場合は車に戻ってしばらく待ったり。
車の中で待っているときに、後ろにパトカーが停まって職質されたこともあったなあ。
お金を入れて商品番号のボタンを押すと、「ジーーガタン」という独特の音がして
ビデオが出てくる。
今みたいに数分間の見本が見られるわけじゃないから、ギャンブル性が高い。
できるだけ無難にヒイキの女優さんの作品にすることが多かったと思う。
深夜冷え冷えとしてくるこの季節になるとそんなことを思い出す。