学校指定ジャージの下にブルマーをはけばいいということに気づいた私は、
ほぼ毎日、家の中で1時間はその格好で過ごし始めた。
簡単にまとめてしまえば女装のはじまりはじまりなわけである。
まず最初は家族の前にその格好で現れるというスリルを味わうことにした。
トイレにいくふりをして母親の前を通る。
冷蔵庫に飲み物を取りに行くことを装って父親のいるリビングを通る。
親は「なんで学校のジャージ着てるんだろう」くらいは思ったのだろうが、
取り立ててなにかを尋ねられるようなこともなかった。
「これは大丈夫だな」
そりゃそうである。
だれも透視能力があるわけはないのだから。
ただ少年が学校のジャージを着てウロウロし
ているだけである。
しかし、AGの人ならわかっていただけると思うのだが、このスリルと背徳感
(?)が興奮をもたらしてくれるのだ。
「そうだ。今度は外に出てみよう」
外を歩き誰かに見られたら興奮するにちがいない。
ある日学校から帰った私は、体操服ブルマーの上にいつもどおりジャージを
着込み、駅前のスーパーに出かけることにした。
いまとなってはなんてこともない行動だが、当時の私にとっては大冒険で
ある。
「友達に会ったらどうしよう・・・。 でも大丈夫バレるわけないよ」
ブルマーで初めてのおでかけ。
私は本当にドキドキしていた。
平日の夕方、季節は初秋だったと思う。
私は玄関から最初の一歩を踏み出した。
~つづく